どうも、カタカナことカタオカカナです。
いかがお過ごしでしょうか。
土曜日は雑多な話。
カタカナの出身地・岐阜の憂いについて。
日本一説明しづらい県・岐阜県
突然だが、私の悩みを聞いていただきたい。
岐阜を、我が故郷・岐阜県をどうやって説明したらいいのか分からないのだ。
見える、見えるよ、いまあなたの頭の上に浮かんだ大きなクエスチョンマークが。
ぎふ?
ぎふ??
ぎふ????
漢字にさえ変換されていない「ぎふ」が飛び交っている様がよく見える。
岐阜、存在が薄すぎる
悩みの始まりは約20年前のことである。
大阪の大学に進学した私は、初めて岐阜の外で暮らすことになった。
新入生は日本各地から集まってきているから、初めはどうしてもこの質問がでる。
「どこ出身?」
どこで生まれたのか聞く単純な質問だ。岐阜と答えるだけでいい。
ところがどっこい、私のアンサーを聞いた相手の顔がにわかに曇り始めるのだ。
「・・・・・あ~~~」
何となく聞いたことはあるけれど内容は全く覚えていない、でも知らないなんて言ったら失礼だろうなあどうしようかなと悩む心の動きが顔に全部出ているのである。
映画マニアぶっていちばん好きな映画は?と聞いてみたものの「アメリカン・サイコ」と答えられてしまい、うわどうしよ見たことないし、そもそもアメリカン・サイコが好きってなんだよどういうことだ俺が好きなのはダイ・ハードだよなどと動揺してしまう中2男子みたいな心境なのだろう。
とはいえ、こっちも岐阜がマイナーな県であることは承知しているから、次の手を放つ。
「長良川とか、ほら、鵜飼やってるとこ」
ここで相手が「あー!はいはい」となる・・・・なんてことはなく、長良川?鵜飼?とさらに困惑した表情になるのである。
こうなるとこちらもどうしようか考えてしまう。
さらなる次の手を放つか、それとも話題を変えるか。
他県で暮らす多くの岐阜県民が「話題を変える」コマンドを選んでいることだろう。
そうしていつしか悟るのだ。
私たち岐阜県民が子どものころから県の名物として教え込まれてきた「長良川」「鵜飼」は、全くもってメジャーじゃないってことを。
絶望である。いままでの常識がすべて覆されるのだから。
慌てて他にも試してみる。
「飛騨高山」「合掌造り」「さるぼぼ」「赤カブ」「郡上踊り」「鮎」「美濃焼き」「関の刃物」「柿」「鶏ちゃん」「下呂温泉」「水がおいしい」・・・・
矢つぶてのように放った情報が、マホカンタのごとく見事に跳ね返されるのだ。跳ね返った情報は刃となって自分の心に傷を負わせてくる。
断言しておく。名物・名産の類は、岐阜を説明するパーツとしてほぼ効力がない。
相手は18歳なのだから知らなくて当然だろうと思われるかもしれないが、この状況、20代・30代になっても永遠に続くのである。
第2コマンド発動
先ほど多くの岐阜県民が「話題を変える」コマンドを使うと言ったが、実はもう一つコマンドがある。
「岐阜は名古屋の隣だよ」である。
他県暮らしのうちに、自県の名物ではらちがあかないことを悟った岐阜県民が使うコマンドだ。
これは結構効力があり、多くの人が「ああ、そうなんだ~」とほっとした顔で返事をしてくれる。とりあえずその場は丸く収まるが、岐阜県民はそっと心の中で泣いているのだ。
さらに中にはこの一連のやり取りに疲れ果て、出身地を聞かれたら「最初から名古屋と答える」という隠しコマンドを使う人もいる。私も一時期そうだった。
「名古屋と答える」コマンドの歯がゆいところは、あながち嘘でもないところにある。
特に美濃地方は名古屋に対する依存度が高い。
まず名古屋に進学、就職する人が多い。さらに食文化も近く、名古屋と同じく赤味噌を食し、休日の朝は家族で喫茶店のモーニングに行く。
ついでなので言わせてもらうが、一世帯辺りの喫茶店代は名古屋を抜いて岐阜市が全国一位なのだ。名古屋文化に依存しているうちに本家を追い越すという元も子もない状況になってしまった。
ケミストリーとEXILEの関係性といえば聞こえはいいが、岐阜というEXILEは全く売れていないのである。しかしながら日本国民の意識から亡命してしまっている面では正解である。
話がEXILEしてしまったが、岐阜県民が「出身は名古屋です」と答える心情は、海よりも深い諦めが漂っている。海ないのに。
カタカナが見つけた最終コマンド
ここまで読まれた方は、きっと、岐阜県民は日本国民に存在を把握してもらえず、名古屋に依存し、結果的に名古屋人に成りすます悲しい人々なのだなと認識されたことであろう。
間違いではない。
しかし、いまここでこの悲しい歴史に終止符を打とうではないか。
実家を出て20年以上「ぎふ・・・?」と言われ続けてきた私が、ついに見つけた答えを披露したい。
相手「どこ出身?」
県民「岐阜です」
相手「・・・・・ぎふ?」
県民「関ヶ原があるところです。」
関ヶ原があるところです。
いかがだろうか、これが私が見つけ出した答えだ。
日本史における戦いの中でも、一二を争う知名度を誇る関ヶ原の戦い。
何を隠そう、あの関ヶ原は岐阜県にある。
いや隠してはいない、知られていないだけだ。
私なんぞは実家が関ヶ原に近いこともあって、中学の林間合宿は関ヶ原だった。
関ヶ原で合宿、いかにも強そうではないか。合戦の一つや二つやってそうである。
実際に「岐阜には関ヶ原があります」と伝えると、相手は大抵「そうなんだー!」と答えてくれる。
歴史好きなら関ヶ原の戦いに、新幹線に乗る人ならあのあたりは雪でよく徐行になるよねなんて返事をしてくれることすらある。
そうでなくても、相手の「自分は岐阜のことを何も知らない、ここからの会話をどうしよう」という焦りが取り除かれ、笑顔が戻ってくるのだ。
こっちも相手に気遣いさせなくてすみ、その上「関ヶ原ってあの関ヶ原ですよ~」とドヤることもできる。
これをWin-Winの関係と呼ばず、なんと呼ぼう。
関ヶ原は老若男女関係なく多くの日本国民が知っている地名にもかかわらず、所在地を知っている人は少ない。これは岐阜県のアピール不足といえよう。
マイナーな深夜ドラマに綾野剛が「出演したいです」とわざわざ連絡してきてくれたのに、一方的にお断りしているようなもんである。もったいないったらありゃしない。(ちなみに綾野剛はリアルに岐阜市出身)
これからは白川郷だけなく、関ヶ原も前面に押し出してほしい。
しかしながら、
「へえ~、関ヶ原って岐阜にあるんだ。で、岐阜ってどこだっけ??」
という会話に戻る場合がある。
この時はすべてあきらめて「名古屋の隣です」コマンドを選んでいただきたい。
もしくは、さっとスマホをとりだし、
「あ、関ヶ原ってこんな施設もあるんですよ~」と関ヶ原ウォーランドのページを見せてほしい。
関ヶ原ウォーランドは(探偵ナイトスクープでいうところの)パラダイスとして、B級マニアに知られた存在である。きっと目くらましになるだろう。保証はしない。
ちなみに私はウォーランドに行ったことはない。
すぐそばにあると逆に行かないというやつだ、大阪市民がUSJに行かないのと同じことである。
同じったら同じだ。
まだまだ岐阜県民の憂いは続くというのに、(私の心の中の)紙面が尽きてしまった。
「岐阜、漢字書けない問題」「有名アニメの舞台なのに気づかれていない問題」「大河ドラマ・麒麟がくるの舞台なのにコロナでまさかの放送回数減少」などなど、いくらでもでてくる。
続きは次回としたい。
今日もここまでお読みいただいてありがとうございました。
それではまた。