どうも、カタカナことカタオカカナです。
いかがお過ごしでしょうか。
水曜日は芸能世界の考察。
二世の中でも異質な「お笑い芸人の娘」について考える。
ドラマを見ながら、二世タレント問題を考える
現在(2020年2月)、「女子高生の無駄づかい」というドラマが放送されている。
女子高に通う生徒たちの生態を描く学園コメディで、主役は岡田結実。
このドラマと見ているとどうしても思いを馳せてしまうことがある。
二世タレント問題だ。
2世の業界の異質「お笑い芸人の娘」
芸能人に限らず、世の中には二世や二代目と呼ばれる人々がたくさんいる。
誠に失礼を承知で言うが、二世に対して世間が持っているイメージと言えば、
親に比べて少々残念ではないかと思う。
2代目社長は遊んでばかりで・・・みたいなキャラ立てのドラマはよくあるし、実際にミュージシャンの二世はパッとしないし、スポーツの世界でも長島一茂・野村克則など、親に比べると活躍度はぐっと下がる。
俳優だと田村正和、船越栄一郎、香川照之と活躍している二世もいるが、これは稀なケースと踏んだ方がよい。ほとんどの二世は親ほど目立つことなく終了していく。
「親に比べて少々残念」が主流の二世の世界であるが、特殊なカテゴリーとなりつつある分野が存在する。
それはお笑い芸人の娘。
関根真里と岡田結実の両名は、二世業界において特に異質に感じられるのだ。
関根麻里・岡田結実の共通点
関根麻里の父は関根勤。
岡田結実の父は、漫才師おかだ・ますだの岡田圭右である。
両名の共通点は多く、
- 美人
- 明るい
- 賢い(英語ペラペラ)
- 気さく
- 年齢よりしっかりして見える
- 妙に要領がいい
- デビュー時から安定して活躍している など。
親のインパクトは強いが、本人にそれほどパンチがある訳ではない、でも残念な人ではないところも似ている。
関根麻里と岡田結実の区別がつかない人も多いのではなかろうか。
デビュー時から親の持ちネタを何度も披露してきたところも同じである。
親戚の子どもと周囲の大人の関係
関根麻里は親の十八番の輪島功一のモノマネを、岡田結実は親のギャグ「閉店ガラガラ、ワォ!」を、どちらも一時期山のように見た。間違いなく親本人より披露していただろう。
芸能レポーターの「お父さんの○○、お願いできますか?」のフリに、二人とも躊躇することなく明るく気さくに応えるのである。
二人が披露し終えると、周囲のレポーターや同席した芸能人から優しい拍手とほんわかした笑いが起こる。
この風景、どこかで見たことあるなとずっと思っていたのだが、あれだ。
正月に親戚が集まった際、幼い子どもがTV番組のモノマネをしたり、ちょっと生意気でおかしなことを言ったりすることがある。
それを見て周囲の大人がふふふと笑う、あの雰囲気に似てはいないか。
子ども本人は周囲が喜ぶからやっているだけであるし、大人たちも「あら~上手ねえ」と拙さを愛でて和む図式が、そのまま関根麻里・岡田結実に当てはまっている気がしてならない。
(クオリティやオリジナリティを求められないところも似ている)
日本人は「親にそっくり」が大好き
唐突だが、日本人は「わあ、お父さんにそっくり!」「お母さんに似ているね」案件が大好きだと言われている。
例えは古いが、大相撲の若貴兄弟はそっくり案件の最高峰だ。
二人が相撲界にデビューした際、多くの人が彼らの姿に父やおじを重ね合わせて愛でていた。
現在、俳優の高橋英樹&真麻は親子でひっぱりだこというレアケースだが、それは二人の顔が似ているという要因も大きいと思う。
お茶の間の人々は親子を見て「そっくりねえ」と目じりを下げたいのだ。
冒頭にあげた二世タレントたち、親とあまり似ていなかったから人気がでなかった可能性はないだろうか。長島一茂も野村克則も親と顔や雰囲気が似ていたら、成績はでなくてももっと世間から愛されていたのではないだろうか。
そこで、関根麻里・岡田結実だ。
二人は父親をしのばせるような容姿ではない。だからこそ、親の持ちネタを披露することでそのハンデを乗り越えようとしているのかもしれない(無自覚だろうが)。
私たちはずっと、関根麻里・岡田結実を見ながら父親二人を思い起こして楽しんでいるだけで、彼女たち本人を見ているとはいいがたい。
岡田結実自身を受け止められない
冒頭に紹介したドラマ「女子高生の無駄づかい」で、岡田結実は「清々しいほどのバカ(役名)」を演じている。
白目むいたり、鼻水たらしたり、ハゲヅラをかぶったりとコメディに取り組んでいるが、どうにも「私、親が漫才師ですからこんな面白いことも、恥ずかしいことも平気でできちゃうんですよ~」臭がするんである。
「お笑い芸人の娘」の看板が悪さをしているようにしか思えない。
体当たりの演技という言葉がぴったりの状況にあるにもかかわらず、必要以上に面白くやろうとしているというか「私、おもしろいことしてます」というドヤ感が強くて、どうにもひっかかってしまうのだ(脇を固める若手女優が皆うまいせいもある)
私を含め、これまでお父さんの真似がそっくりねと目じりを下げてきたお茶の間だが、急に親ではなく、岡田結実本人のコメディを提示されてしまった故にどう受け止めたらいいのかよく分からないのかもしれない。
本人もここぞとばかり張り切って頑張りすぎ気味であるし、視聴者も今まで親ばかり見て彼女をまじまじと見たことがなかったのだから。
とはいえ、回が進んだ現在は岡田結実の出番が減り、他キャラの話が多くなっているため、大変見やすくなっている。異常に高かった彼女の演技テンションが低くなってきたこと、私が岡田結実本人に慣れてきたせいもあるかもしれない。
IMARUという戦い方
ここまで名前を出してこなかったが、お笑い芸人の娘といえばIMARUである。
明石家さんまというお笑い怪獣(やくざ寄り)の娘にも関わらず、関根麻里・岡田結実の発するような「お笑い芸人の娘の異質感」はとても少ない。
これはひとえに、父さんまとIMARUが共演していないこと、私が見る限りIMARUがさんまの持ちネタを真似して披露していないことが大きいと思う。
そのおかげで、視聴者はIMARUを見て明石家さんま(大竹しのぶも)の姿を愛でることは少ないし、彼女を親のそっくりさんとして扱うことはしていない。
親戚の子どもと周囲の大人の関係に持ち込まなかった両名の判断は、とても正しかったといえる。
高橋英樹&真麻とは逆位置にある、二世としての生き方だ。
最後に
また冒頭の話になるが、成功した二世俳優の田村正和、船越栄一郎、香川照之であっても、親の影に隠れていた時期がある。
親が老年となり、芸能活動が少なくなり、やがて亡くなって、世間から次第に忘れられていく。
それと反比例するように、彼らは活躍し世間に知られるようになっていった。
関根麻里も岡田結実にも、いずれ同じ状況が訪れる。
その時に親の真似ではなく、自分自身のオリジナリティやクオリティを提示できれば、次第に「親のそっくりさん」は卒業することができるだろう。もしくはひたすらに親の模倣を極めていく道もある。
どちらになるのか、それとも「親戚の子どもと周囲の大人の関係」のまま終わるのか。
それとも高橋英樹&真麻、明石家さんま&IMARUに続く、二世タレントの新たな生き方を作り出すのか。
逐一見守るほどの興味はないが、20年後にふと思い出したいテーマではある。
今日もここまでお読みいただいてありがとうございました。
それではまた明日。