「はじめて食べた人」にまつわるエトセトラ -食べて書いてまた食べる話26ー

火曜日:食べ物の話

どうも、非効率系ミニマリストのカタカナです。

いかがおすごしでしょうか。

カタカナ
カタカナ

火曜日は50音で綴る食べ物の話。

今回は「は」。

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「は」は「はじめて食べた人」

毎回食べ物の事を書いているこのコーナーですが、今回はもっと根源的なことを考えたいと思っています。

今回の「は」のテーマは「はじめて食べた人」です。

食べ物じゃないやん!とお思いかもしれません。
ちょっとだけ待ってくだされ。

カタカナ
カタカナ

今現在私たちが日常的に食べている物全てに

「はじめて食べた人」が存在するんです。

そう思うと、ちょっと深遠な気持ちになりませんか。

例えば、ホヤ。

単純な例を出しますと、ホヤとか。

そうそう、海にいるホヤ。

ホヤって何? | 魚介類の通販 山内鮮魚店
ホヤは貝だと思われがちですが、生物学的に貝でもなく、魚でもありません。実は、動物に近い脊索動物の一種として分類されています。ホヤ(海鞘)は海産動物の総称です。

三陸地方では養殖されるくらいメジャーな食べ物ですが、それ以外の地域の方がパッと見て「これはホヤです!」と言える確率はかなり低い。

私も分かりません。食べた事もないし。
海の生き物っぽいけど、これなんだろ・・・?ってなる。

じゃあ、「これはホヤですよ、一口いかがですか?」とすすめられたとして。

きっと過半数は食べることでしょう。

じゃあ残りの人は?

「あーー・・・遠慮します」ってなるんじゃないかなーって思うんですよ。
口に入れるにはちょっと勇気のいる外見だから。

私もテンション高いときじゃないと食べられない気がします。
一度食べるまでの壁というか、ホヤと私の心の壁っていうか、ATフィールド発動しそうだなって。

「ホヤはおいしい食べ物」と知識がある現代の日本人ですら躊躇するんですよ?

カタカナ
カタカナ

そんなホヤをはじめて口に入れた昔の人、

めーーーーーーーーーーちゃめちゃすごくないですか????

昔話・ホヤをはじめて食べた人

想像ですけど、ホヤを初めて食べた人ってこんな感じじゃないかなあ。

集落に若者がいた。少々やんちゃで目立ちたがり。
今日も海に潜ってみたらオレンジ色の貝みたいな不思議なものを見つけて、思わず取ってみた。ノリで取って来たのはいいけど、これは喰えるのだろうか・・・?
色が派手だ。もしかしたら毒かもしれない。
でも身はぷりぷりしていて、おいしそうでもある。
においを嗅いでみる。臭くもない。突き刺さるようなトゲもない。
集落の人間たちが集まってきたが、誰もこれを食べたことはないという。

喰うか・・・喰わざるべきか・・・・
しばらく逡巡した後、「死んでもともとだ!」エイヤと口に運んでみると・・・・・
「うまい!」と叫ぶ若者。
喰ってみろ!と人々に勧めてみると、半数は口に入れて「本当にうまい!」と叫ぶが、残りは断ってきた。遅効性の毒があるのではないかと疑っているのである。

周囲の心配をよそに、若者は次々とオレンジ色の物体を食べた。
数日経っても若者が元気にしているのを見て、次第に口に入れる者が増えていき、このオレンジ色の物体は集落のメジャーな食べ物となったのだった。

しばらくの間、この若者は勇気ある人間として讃えられた。
しかし、3年後に彼は見たことのない魚を食べて亡くなったのだった。

・・・・・・・・

カタカナ
カタカナ

自分で想像しておいてなんだけど、

これ、本当の話なんじゃないかと思う。

はじめて食べた人はたくさん亡くなったことだろう

先述の集落の若者が亡くなったように(カタカナの想像ですけど)、特に魚ときのこに関しては命がかかってくるじゃないですか。

ふぐなんて、最初に食べた人は絶対亡くなってるもん。

先日もTwitterでUPされた「ハギ釣ったから今から肝食べる!」と写真付きツイートに対して、「それ猛毒!食べたら死ぬよ!」とコメントが届き、釣った方は食べずに海にリリース、九死に一生を得たというニュースがありました。

Twitterがあったから助かったけど、昔だったら完全に天に召されている案件です。
このハギを初めて食べた人は亡くなっていることでしょう。

きのこ

きのこも毎年のように中毒のニュースを耳にします。

知識のなかった古代、初めて見るキノコを食べてなくなった方は数知れないはず・・・・。

私も相当食い意地が張った人間ですけど、さすがに誰も食べた事のない初めて見るモノを口に入れる勇気はありません。すごいよ、昔のひとたち・・・・

食文化=はじめて食べた人の勇気のつながり

魚もきのこも人間が食べない限り、人にとって有毒か無毒か判別できません。

はじめて食べた人に症状がでて(最悪の場合亡くなって)、その時点で「このハギは毒がある、食べてはいけない」と分かると思うと、切ない気持ちになります。

しかもハギは全部猛毒だ!食べたら駄目だ!ではなくて、「このハギは毒だったけど、あのハギはどうだろう?」とトライ&エラーを繰り返した結果、食べられるハギと食べられないハギの見分けが付くようになったんですよね・・・

何という食への執念。

食事

魚ときのこ以外だったら、納豆だってそう。

大豆が糸を引いて腐っているよ!食べられない!で終わらずに、「もしかして食べられるかも・・・?」とおそるおそるはじめて口に入れた人がいるはずなんですよ。

カタカナ
カタカナ

和食に欠かせない醤油や味噌だって、

最初に口にした人からしたら未知の食べ物です。

天然モノだけでなく、人工添加物関係もそう。科学の力で作ってみたはいいけれど、初めて口に入れた人はワクワクすると同時に怖かったんじゃないか。

もしかしたら死んでしまうかもしれない、そう思いながら発明品を食したんじゃないか。

私は思うんですよ、「初めて食べた人」の勇気が連なって連なって、いま現在の食文化につながっているんだなって。

最後に

今の私たちが安全においしく食卓を囲む事ができるのも、いつかどこかにいた誰かが勇気を持って初めて食べてくれたから。

・・・・もう感謝しかない。心から尊敬する。

ありがとう、初めて食べた人!私においしい食べ物をありがとう!!

これから食べ物を口に入れるとき、たまには「初めて食べた人」に思いを馳せてみてもいいのではないでしょうか。

カタカナ
カタカナ

今日もここまでお読みいただいてありがとうございました。

それではまた明日。