どうも、非効率系ミニマリストのカタカナです。
いかがお過ごしでしょうか。
水曜日は芸能世界の考察。
今季のおすすめドラマのご紹介です!
小品ではあるが、秀作である
「小品ではあるが、秀作である」
美術館の解説やアート本を読んでいると、ときおり出てくるこのフレーズ。
ちいさな作品ではあるが、よくできている。くらいの意味です。
美術作品は大きいほうが迫力があり分かりやすいですから評価されやすい一方、サイズが小さい作品は注目されず評価がつきにくいとされています。
それで冒頭の「小品ではあるが、秀作である」という言い回しが使われるんですね。
今季の秋ドラマで、まさに小品ではあるが、秀作である作品を見つけました。
「新米姉妹のふたりごはん」です。
新米姉妹のふたりごはん
今回ご紹介する「新米姉妹のふたりごはん」は木曜深夜1時~1時30分に放送されています。
ご想像の通り、テレビ東京系です。
両親の再婚で、突然姉妹として二人暮らしをはじめることになったサチとあやりが、食事を通じて仲良くなっていくストーリー。
マーマレードボーイの姉妹版といえばいいんでしょうか(恋愛にはならないけど)
食べることが大好きで明るく社交的な姉のサチ。
ラクレットオーブンなど一般家庭では絶対にないキッチン用品を持っているくらい料理が大好きだけど、極度の人見知りのあやり。
主人公ふたりのルックスが、原作漫画から抜け出してきたのかと思うくらいにそっくりで驚きます(読んだ事ないけど、コミックスの表紙見ただけでも似てる)
顔と顔がやたら近いなど女子高生特有の距離感のせいなのか、妙にエロさがただよう時もあれば、急に百合(BLの逆)っぽくなったりもして、不思議と目を離せない映像になってます。
ルノワール的ドラマ
私がこのドラマが「小品だが秀作」と思う理由はいくつかあるんですが、見てるとね、なんとなくルノアールの絵を見ているような気分になるんですよ。
光の中で進むドラマ
いつもきれいな陽の光の中でドラマが進行していくんですよ。
自宅のキッチンダイニングも光で満たされた空間になっているし、二人が通う学校もいつも光でいっぱいです。
そんな空間に出てくる女の子たちもキラキラキラキラして、もう見えないよ!ってくらいの透明感。
あやりがつくる料理も、光に当たってキラキラとして本当にきれいです。
画面いっぱいに広がる光の感じが、ルノワールの絵を想起させるんですよね。
光あふれる登場人物たち
陽の光だけでなく、人物の描き方もルノワールっぽいなと感じます。
なんとなく思い出していただけると嬉しいのですが、ルノワールの絵ってみんな幸せそうじゃないですか。にこにこして、優しそうで、楽しそう。多幸感に溢れています。
私だけかもしれないですけど、子どものころはルノワールが好きだったのに、思春期になったら大嫌いになりまして。
先述のにこにこした多幸感が許せなくなったんですよ。
現実はもっとシビアで暗いものじゃないか、こんなのぺらぺらのうそっぱちだって。
で、不思議な事に30歳を機にルノワールが好きになったんですよ。
改めて見てみたら、なんてきれいな絵なんだろうと驚いた。
ドラマ・新米姉妹のふたりごはんって、この30歳過ぎで見たルノワールに近いものを感じるのです。
ほら、ルノワールの絵に出てくる女性たちはキラキラしているけど、本当はいやなこともあるし、トイレにも行くし、人の悪口だって言うわけですよ。
でもね、99%黒い人だったとしても、1%の中の上澄みの上澄みのそのまた上澄みには透明な部分があると思うんです。
人生に汚されていない透明なキラキラした何か。
この何かを描いたのがルノワールなんじゃないかと思うんですよ。
大人になるって、自分というものが自分の人生によって汚されていくことを知ることでもありますよね。これはどうしようもないことです。
その悲しみややるせなさを知ったからこそ、ルノワールのよさが分かるのかもしれないって思います。
あのキラキラした何かがどれだけ貴重なものかわかるというか。
ルノワールがキャンパスに残したかった気持ちが分かるというか。
人生が始まる前の「キラキラした何か」
少女たちも怒り・悲しみ・悩み・その他暗い汚い部分もあるけれど、まだまだあのキラキラした何かをたくさん持っています。
新米姉妹のふたりごはんは、少女たちの「あのキラキラした何か」を画面に残すこと、そのことにとても集中しているように感じるんですよね。
人生が始まる前のきらめきをカメラに収めようとしてる。
きらめきの中にある、心のゆらめきも。
はかないからこそ美しい、この視点がとてもルノアール的だと感じます。
キラキラした少女たちが作る料理がキラキラしているのは当然で、食べたらとても清潔な味がしそうなんですよね。
ほんとに、別世界の食べ物みたいなの。
あのブロッコリーはうちにあるブロッコリーと同じ種類なのかしら?と思ってしまうほど。
舞台も、人物も、食べ物も、全てにおいて「あのキラキラした何か」のためにある。
ストーリーも小難しいことはでてきません。
だから何も考えずに、おいしそうな食べ物とキラキラを
目から摂取することだけに集中できます。
もしかしたら、大人になるほど楽しめるドラマなのかもしれません。
10代の子達ではあの尊さはまだわかるまいて。
最後に
見所は「あのキラキラした何か」だけじゃないのでご安心ください!
食べ物の描写は、個人的に孤独のグルメよりおいしそうだと思います。
百合がお好みの方は時折きゅんとするシーンがありますし。出演者たちはみんな美しいし。
悪い人がいないってのもいいのです(今のところですけど)
色々ひっくるめて、「小品ではあるが、秀作である」ので、お時間ある方はぜひご覧くださいませ!
今日もここまでお読みいただいてありがとうございました。
それではまた明日。