どうも、カタカナことカタオカカナです。
いかがお過ごしでしょうか。
土曜日は雑多な話。
成人式の衣装を見ながら、ある青年の人生に思いを馳せる。
カタカナ、新成人の大群に出くわす
先日の日曜日。
いつもの通り図書館に行きますと、わいわいがやがやと声がします。
なんぞなと思って見てみると、着物とスーツの人・人・人。
図書館横の区民センターで成人式を終えた若者たちが、広場で集まって旧交を温めたり写真撮ったりとぎゅうぎゅうになりながらにぎやかにやっているのでした。
数年前から、この区では成人の日の前日、つまり日曜日に成人式を行うようになったんですよ。
それをすっかり忘れてて、うっかり出くわしてしまいました。
「しまいました」と書くと、モンスターに遭遇した的雰囲気が漂いますが、そんな気持ちは毛頭なく。ないけど、狭い広場が2000人くらいの人でぎゅうぎゅうになるもんだから、図書館の入り口まで行くのが本当に大変なんですよ。
邪魔!どいて!とかなんとか言いたいけど、人生の晴れの日にケチつけるのもなんだから、新成人にぶつからないようにぎりぎりで避けつつかわしつつ移動してきました。
行きと帰りで計2回。気疲れしたわー。
新成人の装いを観察する
新成人の装いを見ていると、女性の多くは振袖、たまにスーツ。男性は紋付はかま半分、スーツ半分というところでした。
男女共に一部、スエットという斬新な方もいらっしゃいました。
「成人式にスエットで参加する自分ってどう?」というこんな変わった自分自己アピールなんでしょう。ちょっと分かる(芸大生にありがち)
大群の中にひとりだけ、あの衣装の男性がいました。
あの衣装?あれですよ、肩パットが入ったゴールドはかま!ファーつきの!ついでに髪はリーゼント!!気合が入っています。
北九州市の成人式の名物としてテレビではよく見ていましたが、実物を見るのはこれがはじめて。
本当に存在するんだ!と大変感動しました。
クリオネに遭遇した気分です。
誰が衣装代を出しているの?
家に向かって自転車をこぎながら、ふと思ったんですよね。あの肩パットの彼の衣装代は親御さんがだしたんだろうかって。
彼の選んだ衣装を見た上でお金を出しているのかなあ。
大体の親は若気の至りだからやめとけと止めるもんでしょう。でも、いきった子どもの意見を尊重するんだから相当気合の入った親御さんです。
もしかしたら、衣装は見ないでお金だけ出しているのかもしれません。後で写真見てびっくりするだろうなあ。
ケンジの物語
ここまで考えて、待てよと。
成人式の衣装代は親が出すと思い込んではいないかと。
彼が自分のお金でレンタルしている可能性もあるじゃないか。
特殊な衣装だから、通常の着物より少々お高めでしょう。10万くらいするかもしれません。
毎日せっせとバイトしてやっとこさ貯めたレンタル代なのかも。
あ、バイトとも限らないんだ。ふつーに社会人として働いたお金かもしれないわ。
高卒で働いている人はたくさんいますし、なんなら16歳から働けるんだもの。
そう思うと、彼の肩パット衣装が違って見えてきます。
・・・・・・
若くして働きにでたケンジ(仮名)。
同級生がキャンパスライフできゃっきゃ言ってる頃、彼は暑い日も寒い日も汗と泥にまみれ、親方に怒鳴られ、足を棒にして働いている。
自分は学業に向いていないからと、高校卒業後に働きに出ることを選んだ。
それでも理不尽を感じることもある。友人がうらやましく思える時もある。
でも自分で選んだ道なのだ。
決して給料は高くはないが、今は少しずつ貯金もしている。
成人式のためだ。
実家は貧乏で、貸衣装代なんてとてもねだれない。
貯金目標は10万円。
ケンジは毎月家に3万円仕送りをしているから、生活は楽ではない。むしろ厳しい。
それでも、
誰よりもキメてやろう。
その思いだけを支えに毎日働いている。
1年後、ついにやってきた成人式。
いま彼の懐には、自分の汗と時間とプライドを引き換えに手に入れた10万円がある。
長年の憧れを身に纏う時がきたのだ。
震える指で袖を通す。ずっしりと重い。
鏡に映った自分は昨日までのケンジではない。
黄金に輝く生地はまぶしいを通り越して神々しいし、空に向かってはね上がる肩パットは最高だ。白いファーも豪華さに花を添えているじゃないか。
気合をいれてセットしたリーゼントもばっちりだ。
誰よりもキマッている。
この姿を早く同級生に見せたい、はやる気持ちとうらはらにケンジはゆっくりと歩き出したーー・・・
ケンジ、成人式おめでとう
って、勝手に彼の人生に思いをめぐらせてみましたけど、これが本当なら、ケンジ(仮名)めちゃくちゃ偉いやん・・・
20歳になったら、自動的に成人式に出て新成人扱いされるもんですけど、中身はいうほど大人じゃない。まだまだ子どもです。
でもケンジときたら、同級生の誰よりも大人だわよ。
自分で稼いだお金で成人式の衣装を着るなんて、立派過ぎるやんか。
肩パットが入ったいかつい衣装って、見た目子どもっぽいじゃないですか。
でも中身までこどもとは限らないんだなあ。
必死に生き抜いたケンジの成人式は誰よりも晴れがましい。
親御さん、衣装代を出せなくて悲しかったでしょうけど、息子の晴れ姿を見たらさぞ鼻が高いことでしょう。立派な子に育ったと喜ばれることでしょう。
本当に、本当に、成人おめでとうケンジ。
ケンジのような若者がいれば、きっと未来は明るいわ。
でも私思うのだけど、ケンジ、君、普通の着物の方がずっと似合うよ。
無理にとは言わないけど、検討してみてね。
今日もここまでお読みいただいてありがとうございました。
それではまた明日。