どうも、カタカナことカタオカカナです。
いかがお過ごしでしょうか。
火曜日は50音で綴る食べ物の話。
今回は「ず」。
夏の市民農園の風物詩
夏の市民農園には「ず」にまつわるある人々が登場します。
それは、ズッキーニの雄花探し隊。
他の人の畑にズッキーニの雄花が咲いていないか捜し求めてさまよう人々のことです。
この姿を見ると、夏だな・・・と思います。
ズッキーニってどう実るの?
さてさて、ズッキーニがどのように実るかご存知でしょうか。
多くの方がきゅうりのようにつるの先に実っていると想像されるかと思いますが、実は・・・
こんな風に巨大な茎の間に実ります。
初めて見たときはメデューサの髪の毛を連想しました。
実り方は全く違いますが、きゅうりに似た部分もありまして、ズッキーニは雄花雌花別々に咲くんですね。
これが雌花です。
黄色い花の下にぷっくりした実の部分がありますよね。
この雌花に雄花の花粉がつくことで、下の実が大きく成長する仕組みになっています。
すなわち、受粉しないと実がならないのです。
どんな植物でもそうじゃないの?と思われるかもしれませんが、多くの野菜果物は自家受粉なんですよ。おしべとめしべが一緒にある。
でもズッキーニは完全に別々に咲くのですね。
これが問題の元なんですわ。
ズッキーニの花は死活問題
何がって、雄花が咲いたタイミングで雌花が咲くとは限らない、またその逆もしかりなんですよ。
雄花と雌花が同じタイミングで咲かないと、受粉ができないんですね。
しかもきゅうり・かぼちゃと違って、花は一度に1~2くらいしか咲きません。
これがズッキーニ畑なら問題ではなくて。
100株あればいくつかに花が咲きますから、ミツバチの力でいずれ受粉ができます。
しかし、市民農園ではそうはいきません。
市民農園利用者は狭い敷地で数多くの種類を育てたいもんです。トマト、きゅうり、なす、さといも、サニーレタス等など創意と工夫でぎゅうぎゅうに詰め込んでいます。
その上で珍しい野菜や面白い野菜を育ててみたい、それがズッキーニなんですね。
でもズッキーニは株自体がかなり大きくなりますから、大体みんな1株しか植えないんですよ。
多くても2株まで。
1株や2株くらいでは、雄花と雌花が同時に咲く確率がかなり低いのです。
ほぼないと言っていい。
さらにそこにミツバチがくるかどうかなんて運次第です。
そんな偶然に任せておく訳にもいきませんから、人の手で直に雌花と雄花をくっつけて受粉させる必要があります。
となると、登場するのが冒頭の「ズッキーニの雄花探し隊」。
市民農園中を歩いてズッキーニの栽培者を探し、雄花をもらえるように交渉するのです。
どこに咲いているかわからない、そもそも咲いているか分からない雄花を求めて、どこまでも「ズッキーニない?ズッキーニない?」とさ迷い歩かなくてはなりません。
もし雄花が咲いていてももらえるとは限りません。本人の株にも必要なものですから。
炎天下の中、あてもなく歩く姿は、さながら水を求めてさまよう砂漠の遭難者のよう。
私はたまたま栽培しなかったのですが、雄花探し隊の姿を見たときしみじみ育てなくてよかったなと思う一方で、あれに参加することが市民農園の醍醐味なんじゃないかとも思ったり。
夏野菜を栽培した事ある方なら、スーパーの夏野菜って高いな・・・と思ったことがあると思うんですよ。きゅうりもミニトマトもバカスカとれるから。
でもズッキーニだけは1本100円の価格を見ても納得してしまいます。
あの炎天下の中、雄花を探して歩く雄花探し隊のことを思えば安いくらいですもん。
最後に
そんなズッキーニの花ですが、イタリアではフライにして食べるそうです。
日本にいるイタリア留学生が遊びに行った農家でズッキーニを発見、大喜びで花をパクパク食べ、すべて食べつくしてしまい実がならなかった・・・なんて話を聞くくらいおいしいそう。
ズッキーニの花は多方面で人を惑わすようです。
惑わされた先にやっと収穫されるズッキーニ。
やっぱり1本100円は安いなと思うカタカナなのでした。
今日もここまでお読みいただいてありがとうございました。
それではまた明日。